別所
出典: 浄土真宗聖典『ウィキアーカイブ(WikiArc)』
べっしょ
別処とも書く。本所から別立した所の意。本寺を離れた僧侶や集団で住んだ所をいう。比叡山の黒谷別所からは法然が出ている。蓮如は文明元年(1469)に三井寺の南別所に親鸞の影像を安置した。
◆ 参照読み込み (transclusion) JDS:別所
べっしょ/別所
本寺の地域とは別に、修行のためなどに存在する場所。別院。隠遁者や修行者が草庵などを構えて住む場所で、特に平安後期以降、念仏者が好んで別所に住した。所属する寺院にあわせて「○〇別所」などとして用いられる。例えば南都寺院では東大寺の別所として、重源が定めたとされる播磨別所や高野の新別所など七箇所が、興福寺には小田原別所がある。また京都比叡山の別所には西塔黒谷や大原の別所が存在した。別所は念仏信仰とかかわりが深く、播磨別所には浄土寺が、小田原別所には浄瑠璃寺が存在し、ともに念仏信仰の場であった。また比叡山の別所である黒谷からは法然が、大原からは良忍がでている。また別所は、聖と呼ばれる行者たちとも関係が深く、彼らの存在は民間への念仏信仰の普及の一助になったと考えられている。平安後期頃から見られる別所を中心とした様々な念仏信仰の形成は、日本における浄土教の発展を考える上で重要なものである。
【執筆者:石田一裕】