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「寺族」の版間の差分

出典: 浄土真宗聖典『ウィキアーカイブ(WikiArc)』

 
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じぞく 寺族
 
じぞく 寺族
  
 本来、仏教では[[JDS:僧侶|僧侶]]は[[gooj:妻帯|妻帯]]を禁じられて家庭を持つことはないとされていた。それは結婚すれば子供ができる。しかし出家者は世俗の生活を捨て、僧となって仏道を修行し[[JDS:托鉢|托鉢]]などによって他者に養われる存在であるから十全に子供を育てることは困難である。このように子を育てることができないから、[[仏教]]では僧侶の妻帯を否定しているのであろう。俚諺(りげん:世間に言い伝えられてきたことわざ)に「子ゆえに迷う親心」とあるのだが釈尊も我が子をラーフラ(障害をなすもの)ともされていた。<br />
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 本来、仏教では[[JDS:僧侶|僧侶]]は[[gooj:妻帯|妻帯]]を禁じられて家庭を持つことはないとされていた。それは結婚すれば子供ができる。しかし出家者は世俗の生活を捨て、僧となって仏道を修行し[[JDS:托鉢|托鉢]]などによって他者に養われる存在であるから十全に子供を育てることは困難である。このように子を育てることができないから、[[仏教]]では僧侶の妻帯を否定しているのであろう。俚諺(りげん:世間に言い伝えられてきたことわざ)に「子ゆえに迷う親心」とあるのだが釈尊も我が子を[[ラーフラ]]Rāhula(障害をなすもの)ともされていた。<br />
 
 ただ[[浄土真宗]]は、宗祖の御開山が妻帯されたこともあり、家庭を営む在家仏教として肉食・妻帯を許している。
 
 ただ[[浄土真宗]]は、宗祖の御開山が妻帯されたこともあり、家庭を営む在家仏教として肉食・妻帯を許している。
 
そして伝統的に住職の妻のことを「<kana>[[坊守]](ぼうもり)</kana>」と呼んで寺の組織の役割の一部としてきた。近年の制度では、女性住職の夫や、配偶者ではない親族が務めることもある。<br />
 
そして伝統的に住職の妻のことを「<kana>[[坊守]](ぼうもり)</kana>」と呼んで寺の組織の役割の一部としてきた。近年の制度では、女性住職の夫や、配偶者ではない親族が務めることもある。<br />
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といふ太政官布告の「僧尼令」の廃止にともない僧侶の肉食・妻帯・蓄髪は自由であるとされ浄土真宗以外の宗派でもおおやけに肉食妻帯蓄髪等が許されるようになった。
 
といふ太政官布告の「僧尼令」の廃止にともない僧侶の肉食・妻帯・蓄髪は自由であるとされ浄土真宗以外の宗派でもおおやけに肉食妻帯蓄髪等が許されるようになった。
 
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2024年3月9日 (土) 19:41時点における最新版

じぞく 寺族

 本来、仏教では僧侶妻帯を禁じられて家庭を持つことはないとされていた。それは結婚すれば子供ができる。しかし出家者は世俗の生活を捨て、僧となって仏道を修行し托鉢などによって他者に養われる存在であるから十全に子供を育てることは困難である。このように子を育てることができないから、仏教では僧侶の妻帯を否定しているのであろう。俚諺(りげん:世間に言い伝えられてきたことわざ)に「子ゆえに迷う親心」とあるのだが釈尊も我が子をラーフラRāhula(障害をなすもの)ともされていた。
 ただ浄土真宗は、宗祖の御開山が妻帯されたこともあり、家庭を営む在家仏教として肉食・妻帯を許している。 そして伝統的に住職の妻のことを「坊守(ぼうもり)」と呼んで寺の組織の役割の一部としてきた。近年の制度では、女性住職の夫や、配偶者ではない親族が務めることもある。
 このような坊守制度にあるように、浄土真宗では妻帯を許してきたので、個々の寺院所属の家族間で、寺院家族間の地縁、血縁のつながり関係が形成された。この寺院家族の地縁血縁のつながりが特殊な《階級》を形成していったものを寺族と呼ぶ。


なお明治維新といふ社会革命によって、

明治五(1872)年四月二十五日、太政官布告第一三三号
自今僧侶肉食妻帯蓄髪等可為勝手事 但法用ノ外ハ人民一般ノ服ヲ着用不苦候事。
今より僧侶の肉食・妻帯・蓄髪は勝手たるべき事、ただ法要の外は、人民一般の服を着用しても苦しからず候ふ事。

といふ太政官布告の「僧尼令」の廃止にともない僧侶の肉食・妻帯・蓄髪は自由であるとされ浄土真宗以外の宗派でもおおやけに肉食妻帯蓄髪等が許されるようになった。

坊守
kotoba:僧尼令

◆ 参照読み込み (transclusion) JDS:寺族

じぞく/寺族

住職家族、およびそれに準ずる者のこと。浄土宗では「宗綱」第二四条および「寺族規程」(宗規第二七号)で、寺院(教会)には寺族を置くことができるとし、その資格について、住職(主任)の家族およびこれに準ずる者で、本宗の寺族台帳に登録された者と定義している。寺族が心がけるべきことは、住職を補佐し、寺門の興隆および子弟の教養に努め、常に信行を策励し、寺庭を整え、身をもって檀信徒の範となることとされている。なお、同一人物が二つ以上の寺院寺族登録することはできない。


【執筆者:今岡達雄】