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出典: 浄土真宗聖典『ウィキアーカイブ(WikiArc)』

 
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覈求其本釈 (かくぐ-ごほんしゃく)
 
覈求其本釈 (かくぐ-ごほんしゃく)
 
:問曰 有何因縁 言速得成就 阿耨多羅三藐三菩提。
 
:問曰 有何因縁 言速得成就 阿耨多羅三藐三菩提。
::問うていはく、なんの因縁ありてか〈速得成就[[阿耨多羅三藐三菩提]]〉<ref>速やかに[[阿耨多羅三藐三菩提]]を成就することを得</ref> といへるやと。
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::問ひていはく、なんの因縁ありてか「速やかに阿耨多羅三藐三菩提を成就することを得」といへる。
 
:答曰 論言 修五門行 以自利利他 成就故。
 
:答曰 論言 修五門行 以自利利他 成就故。
::答へていはく、『論』(浄土論)に〈五門の行を修してもつて自利利他成就したまへるがゆゑに〉といへり。
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::答へていはく、『論』(浄土論)に「[[五門]]の行を修して、[[自利…ゆゑなり|自利利他成就するをもつてのゆゑなり]]」といへり。
 
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:然'''覈求其本''' 阿弥陀如来為増上縁。
 
:然'''覈求其本''' 阿弥陀如来為増上縁。
::しかるに覈(まこと)に其の本を求むれば、阿弥陀如来を[[増上縁]]とするなり。
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::しかるに覈(まこと)に其の本を求むるに、阿弥陀如来を[[増上縁]]となす。
 
:他利之与利他 談有左右。
 
:他利之与利他 談有左右。
::[[他利]]と[[利他]]と、談ずるに[[左右]]あり。
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::[[他利と利他]]と、談ずるに[[左右]]あり。
 
:若自仏而言 宜言利他。
 
:若自仏而言 宜言利他。
 
::もし仏よりしていはば、よろしく利他といふべし。
 
::もし仏よりしていはば、よろしく利他といふべし。
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::衆生よりしていはば、よろしく他利といふべし。
 
::衆生よりしていはば、よろしく他利といふべし。
 
:'''今将談仏力'''。是故以利他言之。当知 此意也。
 
:'''今将談仏力'''。是故以利他言之。当知 此意也。
::いままさに仏力を談ぜんとす、このゆゑに'''利他'''をもつてこれをいふ。まさに知るべし、この意なり。
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::{{ULR|いままさに仏力を談ぜんとす、このゆゑに'''利他'''をもつてこれをいふ。まさに知るべし、この意なり}}。
 
:凡是生彼浄土 及彼菩薩人天所起諸行 皆縁阿弥陀如来本願力故。
 
:凡是生彼浄土 及彼菩薩人天所起諸行 皆縁阿弥陀如来本願力故。
::およそこれかの浄土に生ずると、およびかの菩薩・人・天の起すところの諸行は、みな阿弥陀如来の'''本願力'''によるがゆゑに。
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::およそこれかの浄土に生ずると、およびかの菩薩・人・天の起すところの諸行は、みな阿弥陀如来の'''本願力'''によるがゆゑなり。([[行巻#P--192|行巻 P.192]])
 
:何以言之 若非仏力 四十八願 便是徒設。
 
:何以言之 若非仏力 四十八願 便是徒設。
::なにをもつてこれをいはば、もし仏力にあらずは、四十八願すなはちこれいたづらに設けたまへらん。([[浄土論註 (七祖)#no126|論註 P.155]]),([[行巻#P--192|行巻 P.192]])
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::なにをもつてこれをいふとなれば、もし仏力にあらずは、四十八願すなはちこれ[[徒設]]ならん。([[浄土論註 (七祖)#no126|論註 P.155]])
 
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『浄土論』には五念門行が説かれているが、他利ではなく仏力をあらわす「利他」の語で説かれているから、仏の側からの仏力を談じている(今将談仏力)のだとされた。
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『浄土論』には浄土教の菩薩が修する[[五念門]]行が説かれているが、[[約生]]の表現の[[他利]]ではなく仏力をあらわす「利他」の語で説かれているから、仏の側からの仏力を談じている(今将談仏力)のだとされた。
以下、浄土往生によって速やかに成仏する根拠を、阿弥陀仏の四十八願のうちの、[[第十八願]]、[[第十一願]]、[[第二十二願]]を引いて証明されている。
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以下、浄土往生によって速やかに成仏する根拠を、阿弥陀仏の四十八願のうちの、[[第十八願]]、[[第十一願]]、[[第二十二願]]の三願を引いて証明されている。→[[三願的証]]、
 
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2024年8月12日 (月) 15:11時点における最新版

覈求其本釈 (かくぐ-ごほんしゃく)

問曰 有何因縁 言速得成就 阿耨多羅三藐三菩提。
問ひていはく、なんの因縁ありてか「速やかに阿耨多羅三藐三菩提を成就することを得」といへる。
答曰 論言 修五門行 以自利利他 成就故。
答へていはく、『論』(浄土論)に「五門の行を修して、自利利他成就するをもつてのゆゑなり」といへり。
覈求其本 阿弥陀如来為増上縁。
しかるに覈(まこと)に其の本を求むるに、阿弥陀如来を増上縁となす。
他利之与利他 談有左右。
他利と利他と、談ずるに左右あり。
若自仏而言 宜言利他。
もし仏よりしていはば、よろしく利他といふべし。
自衆生而言 宜言他利。
衆生よりしていはば、よろしく他利といふべし。
今将談仏力。是故以利他言之。当知 此意也。
いままさに仏力を談ぜんとす、このゆゑに利他をもつてこれをいふ。まさに知るべし、この意なり
凡是生彼浄土 及彼菩薩人天所起諸行 皆縁阿弥陀如来本願力故。
およそこれかの浄土に生ずると、およびかの菩薩・人・天の起すところの諸行は、みな阿弥陀如来の本願力によるがゆゑなり。(行巻 P.192)
何以言之 若非仏力 四十八願 便是徒設。
なにをもつてこれをいふとなれば、もし仏力にあらずは、四十八願すなはちこれ徒設ならん。(論註 P.155)

『浄土論』には浄土教の菩薩が修する五念門行が説かれているが、約生の表現の他利ではなく仏力をあらわす「利他」の語で説かれているから、仏の側からの仏力を談じている(今将談仏力)のだとされた。 以下、浄土往生によって速やかに成仏する根拠を、阿弥陀仏の四十八願のうちの、第十八願第十一願第二十二願の三願を引いて証明されている。→三願的証

三願的証
本願力