「二種回向」の版間の差分
出典: 浄土真宗聖典『ウィキアーカイブ(WikiArc)』
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:還相の利益は利他の正意を顕すなり。ここをもつて論主(天親)は広大無碍の一心を宣布して、あまねく雑染堪忍の群萌を開化す。宗師(曇鸞)は大悲往還の回向を顕示して、ねんごろに他利利他の深義を弘宣したまへり。還相の利益は利他の正意を顕すなり。 | :還相の利益は利他の正意を顕すなり。ここをもつて論主(天親)は広大無碍の一心を宣布して、あまねく雑染堪忍の群萌を開化す。宗師(曇鸞)は大悲往還の回向を顕示して、ねんごろに他利利他の深義を弘宣したまへり。還相の利益は利他の正意を顕すなり。 |
2018年2月17日 (土) 10:06時点における版
にしゅ-えこう
往相回向と還相回向のこと。往相とは往生浄土の相状。還相とは
親鸞はこれらの回向を本願力回向であるとして、回向の主体を阿弥陀仏であるとした。
衆生が往生成仏する因果である往相も、証果を開いて後の還相のはたらきも、阿弥陀仏が衆生に施し与えるものとする。親鸞は往相回向を教・行・信・証の四法として明かし、その証の内容として還相が回向されることを示した。「教巻」に、
- つつしんで浄土真宗を案ずるに、二種の回向あり。一つには往相、二つには還相なり。往相の回向について真実の教行信証あり。(教巻 P.135)
「証巻」に。
- 還相の回向といふは、すなはちこれ利他教化地の益なり。(証巻 P.313)
とある。→四法(浄土真宗辞典)
御開山は「教巻」で、
- つつしんで浄土真宗を案ずるに、二種の回向あり。一つには往相、二つには還相なり。
と、浄土真宗という宗義であらわし、『浄土文類聚鈔』では、
- しかるに本願力の回向に二種の相あり。一つには往相、二つには還相なり。
と法義で二種回向という本願力回向を示しておられた。
「証巻」を総決して、
- 還相の利益は利他の正意を顕すなり。ここをもつて論主(天親)は広大無碍の一心を宣布して、あまねく雑染堪忍の群萌を開化す。宗師(曇鸞)は大悲往還の回向を顕示して、ねんごろに他利利他の深義を弘宣したまへり。還相の利益は利他の正意を顕すなり。