摩訶止観
出典: 浄土真宗聖典『ウィキアーカイブ(WikiArc)』
まかしかん
十巻。略して『止観』ともいう。天台大師
『浄土真宗聖典(注釈版)七祖篇』本願寺出版社
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- 御開山の、お念仏が「大行」であるという用例は、摩訶止観が念頭にある。摩訶止観では摩訶(梵 mahā マカー、マハー)として止観の大行を説くが、御開山は浄土真宗の大行とは、衆生や声聞や菩薩の行ではなく諸仏が咨嗟する南無阿弥陀仏を称える仏作仏行 (仏の作す仏の行) こそが真の大行とされそれを本願の行とされたのである。
- →大行
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まかしかん/摩訶止観
二〇巻。『法華玄義』『法華文句』と並ぶ天台三大部(法華三大部)の一つ。隋・開皇一四年(五九四)の智顗の荊州玉泉寺における講述を章安灌頂(五六一—六三二)が筆録したもの。灌頂による序文には「此の止観は、天台智者、己心中所行の法門を説く」(正蔵四六・一中)とあり、総論(五略)と各論(十広)とに渉って、円教教理に立脚した止観(円頓止観)による修行の方軌が詳述されている。止観とは、「即空即仮即中」と言表される円融三諦の妙理(諸法実相)に繫念して妄念の流動を止息せしめる「止」と、円融三諦(実相)に即して諸法を観察する「観」とを併称した天台独自の実践法である。しかし、『法華経』に限らず、広く『般若経』『華厳経』『涅槃経』等の諸大乗経典を引証して、仏道修行の根幹が止観の実践に存することを示す本書は、独自の発展を遂げた日本の天台宗のみならず、唐代以降の中国仏教、および日本の仏教諸宗派にも多大な影響を与えた。なお、平安期に比叡山に盛行した不断念仏は、本書に説かれる四種三昧の中の常行三昧に基づくものである。
【所収】正蔵四六
【参考】関口真大校注『摩訶止観』(岩波書店、一九六六)、池田魯参『詳解摩訶止観』天・地・人巻(大蔵出版、一九九五・一九九六・一九九七)
【執筆者:木村周誠】
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摩訶止観(まかしかん)は、仏教の論書の1つで、止観(止は三昧、観は智慧。仏教瞑想はこの2つから成る。上座部仏教でいうサマータとヴィパッサナー)についての解説書。10巻。594年に中国荊州(現在の湖北省)玉泉寺で天台智顗によって講義され、弟子の章安灌頂によってまとめられた。天台三大部の1つ。
概略
摩訶止観は天台止観を構成する三種止観(円頓止観・漸次止観・不定止観)と四種三昧(常行三昧・常坐三昧・半行半坐三昧・非行非坐三昧)の内の、円頓止観についての解説書で、10章からなる。
章立て
- 大意(五略)
- 釈名
- 体相
- 摂法
- 偏円
- 方便
- 正修
- 果報
- 起教
- 旨帰
- このうち、後半部分は講義期間が終了したため、説かれていない。
注釈書
版本
- 『大正新脩大蔵経』<第46諸宗部 第3巻>(高楠順次郎編、大蔵出版、新版1990年)
- 『摩訶止観 昭和新纂國訳大蔵経』(大法輪閣、新版2009年)
- 『國訳一切経』<和漢撰述部諸宗部第4 第3巻1~10>(田村徳海訳、大東出版社)、改訂版刊
参考文献
- 関口眞大『天台止観の研究』(岩波書店、1969年、復刊1985年、1995年)
- 関口眞大校注『摩訶止観 - 禅の思想原理』(岩波文庫(上・下)、1966年)- 度々復刊
- 新田雅章訳著『摩訶止観 <佛典講座25>』(大蔵出版、1989年、新装版2002年)
- 菅野博史訳著『一念三千とは何か - 摩訶止観〈正修止観章〉』(第三文明社 レグルス文庫 1992年、第三文明選書 2017年)- 抜粋での現代語訳注と解説
- 『摩訶止観』(菅野博史訳注、全四冊予定)第三文明社(第三文明選書)- 全文の訓読訳で2022年より刊行中
- 村中祐生訳注『摩訶止観 <大乗仏典 中国・日本篇6>』(中央公論社、1988年)- 抜粋の現代語訳
- 池田魯参『『摩訶止観』を読む』(春秋社、2017年)
- 池田魯参『摩訶止観研究序説』(学術叢書・禅仏教、大東出版社、1986年)
- 池田魯参『詳解摩訶止観 〈天巻・地巻・人巻〉』(大蔵出版、1995-1997年)
- 多田厚隆『摩訶止観講述 止観明静 一・二巻』(多田孝正・多田孝文編、山喜房佛書林、2006-2007年)
- 中国仏教研究会『「摩訶止観」引用典拠総覧』(中山書房佛書林、1987年)
関連項目