二枚起請文
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Ⅵ-0011黑谷上人御法語
道俗等おもふべし、我身にはかしこき事は一もなし。佛の願によらずは、かゝるあさましきものゝ往生の大事をとぐべしやと思て、阿彌陀佛の悲願をあふぎ、他力をたのみて名號を憚なく唱べき也。是を本願を憑とはいふなり。すべて佛たすけ給へと思て、名號をとなふるに過たる事はなき也。此外によしと思も憍慢の心なり。凡、佛をたのむといふは、心の中の觀念にもあらず、たゞ名號をとなふるを、すなはち本願憑とは云也。念佛の行者、觀念にとゞまる事なかれ、思はゞやがて聲をいだしてとなふべきなり。稱名の外には決定往生の正因なし。稱名の外には決定往生の正行なし。稱名の外には決定往生の正業なし。稱名の外には決定往生の觀念なし。稱名の外には決定往生の智惠なし。稱名の外には三心なし。稱名の外には決定往生の四修なし。五念も稱名の外にはなし。佛の本願も稱名を本願とす。厭離穢土の心も稱名の中にあり。法藏菩薩の昔の他力本願の故に、彌陀如來の自在神力と信じ奉るべし。若是よりおくふかき事を存候はゞ、今生には日Ⅵ-0012本國六十餘州の大小の神罰を蒙り、來世には彌陀の四十八願にもれ候て、無間地獄におつべし。