徳
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とく
- →功徳
◆ 参照読み込み (transclusion) WDM:とく
徳
guna (S)
仏教でいう徳は、善根や功徳、美徳、属性など、さまざまな意味をもつ。
正しい道を行って、すでに得るところがある、という意味である。転じて、めぐみ、さいわいなどの意味。主に、功徳、福徳、道徳という熟語で使われる。
仏果の功徳を、二つの徳に分けて言う。
あるいは、智・断・恩(願力によって衆生を救う)の三徳として、仏菩薩の徳性を分けて、悲徳(利他)と智徳(自利)の二徳とする。
また、先天的に具えている真実の本性を性徳(しょうとく)、後天的な修行によって得られる徳を修徳(しゅとく)として二徳とする。
- 施す者も受くる者も倶(とも)に徳有るがゆえに報を得ること増多なり 〔大智度論(11)〕
このように、有徳(うとく)の者を「徳」と呼ぶことがあり、「大徳」は、
- 婆檀陀(bhadanta)、秦には大徳と言う 〔大智度論(2)〕
などのように、仏に対する敬称から修行者に対する呼びかけまで、幅広く使われる。
得
upalabdhi: nir-viś: pratilabdha: prati-labh: pratilābhm: prāpta: labdha: labh: lābha: lābhin (S)
ものを得る、獲得すること。功徳や力を身につけること。「衣を得る」「千の金銭を得る」「功徳を得る」「善根を得る」
anupra-āp: anuprāpta: āp: āpti: pra-āp: samanvāgata: saṃprāpaka (S)
ある心境・境界に達すること。ある修行の過程・段階を得ること。「涅槃を得る」「菩提を得る」「阿羅漢果を得る」「離欲を得る」「見道を得る」「自在を得る」「順決択分を得る」
lābha (S)
金銭や財物を得ること。経済的に栄えること。利・財利ともいう。八世法の一つ。不得の対。
ā-gam: āp: āpti: upa-jan: pratilabdha: prati-labh: pratilambha: lābha: samādāna (S)
戒を受けること。戒を受けることによって「非を防ぎ悪を止める力」(律儀)を得ること。「戒を得る」「蓮鶉戒を得る」「戒を受けて律儀を得る」
upalabdhi
prāpti (S)
心不相応行の一つとしての得。自相続(自身)のなかで、あるもの(法)を「得る」「獲る」「成就する」という出来事を成立せしめる原理をいう。たとえば煩悩が生じることを得る、あるいは涅槃を証することを得るのは、この「得」という原理が働いているからであると考える。
得の異名として獲と成就とがあり、未だかつて得なかったもの、またかつて得たが失ったものをいま得ることを獲(lābha) といい、獲の刹那以後、獲得しおわって失わずに相続することを成就(samanvāgama) という。法後得・法前得・法倶得の3種がある(〈倶舎〉の所説)。
〈倶舎〉は、得という不相応行は実際に存在するもの(実有)であると説くが、〈唯識〉は、得とは存在するもの(諸法)の
ありよう(分位)に名づけた仮の存在(仮有)であると説く。
- 得、謂、獲・成就。非得此相違。得非得、唯於自相続二滅。〔『倶舎』4,T29-22a〕
- 得者、謂、於善不善無記法、若増若減、仮立獲得成就。〔『雑集論』2,T31-700a〕