〔親鸞聖人御消息〕
出典: 浄土真宗聖典『ウィキアーカイブ(WikiArc)』
しんらんしょうにんごしょうそく 親鸞聖人御消息
親鸞が関東から帰洛して遷化に至るまで、門弟などに対して書き残した文書のこと。親鸞の真蹟消息は11通が現存し、その他、門弟による古写消息。また御消息の代表的な集成として、『末灯鈔』『親鸞聖人御消息集』『御消息集善性本』『血脈文集』などが伝えられている。晩年の親鸞の信心の領解がうかがわれるとともに、指導者としての親鸞の態度や門弟の信仰態度などを知ることができ、初期の真宗教団の動静をうかがうのに不可欠である。
その内容は、門弟の質問に対する返事や自身の身辺のことであり、門弟からの懇志に対するお礼に添えて書かれたものなどもある。これらの御消息を通して、関東の門弟たちの間で、教義的にどのようなことが問題になっていたかを推測することができる。誓願名号同一や「如来とひとし」ということについての説明、また造悪無礙の異義に対する厳しい批判などがそれである。さらに念仏停止の訴訟に関することや善鸞義絶と関連するものがいくつかみられることも注意すべきである。その他、「自然法爾章」のような短編の法語もある。
『浄土真宗聖典』(原典版) ならびに『浄土真宗聖典』(註釈版) 所収の『親鸞聖人御消息』では、これらの御消息のなか、重複したものや、異同が認められるものを整理し、まず年代の確定できるものや年代推定が確実視される御消息を年代順に、次いで年代推定に疑問が残るものおよび年代が不明のものを月日順に配列し、伝存する計43通すべての御消息を収録している。