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現生十益

出典: 浄土真宗聖典『ウィキアーカイブ(WikiArc)』

『楽邦文類』には、慈雲法師の『往生西方略傳序』を引いて、[1] 現世當獲十種勝利を挙げている。御開山は『楽邦文類』を熟読されておられたから「現生十種の益」の参考にされたのではといわれている。


諸經具説。若能暫歸三寶。受持一佛名者。現世當獲十種勝利。
諸経につぶさに説く。若し能く暫しも三宝に帰し、一仏名を受持すれば、現世、当(まさ)に十種の勝利を獲べし。
一者晝夜常得一切諸天大力神將。河沙眷屬隱形守護。
一には、昼夜常に一切諸天大力の神将、恒沙の眷属の隠形の守護をう。
二者常得二十五大菩薩。如觀世音等。及一切菩薩常隨守護。
二には、常に二十五大菩薩、観世音等の如き及び一切菩薩の常随守護をう。
三者常爲諸佛晝夜護念。阿彌陀佛常放光明。攝受此人。
三には、常に諸仏の為に昼夜護念せられ、阿弥陀仏常に光明を放ちて、此の人を摂受す。
四者一切惡鬼。若夜叉若羅刹。皆不能害。一切毒蛇毒龍毒藥。悉不能中。
四には、一切の悪鬼、若しくは夜叉、若しくは羅刹、皆害する能わず、一切の毒蛇悪龍毒薬、中(あた)ること能わず。
五者一切火難水難。寃賊刀箭。牢獄枷柚。横死枉死。悉皆不受。
五には、一切の火難水難、冤賊、刀箭、牢獄、枷柚(枷鎖)、横死、枉死、悉く皆受けず。
六者先所作罪皆悉消滅。所殺寃命。彼蒙解脱。更無執對。
六には、先に作す所の罪皆悉く消滅す、殺す所の寃命(かたき)、彼解脱を蒙りて更に執対なし。
七者夜夢正直。或復夢見阿彌陀佛勝妙色像。
七には、夜の夢正直、或いは復夢に阿弥陀仏の勝妙色像を見たてまつる。
八者心常歡喜。顏色光澤。氣力充盛。所作吉利。
八には、心常に歓喜し、顔色光沢あり、気力充盛にして、作すところ吉利なり。
九者常爲一切世間人民。恭敬供養。歡喜禮拜。猶如敬佛。
九には、常に一切世間人民の為に、恭敬供養せられ、歓喜礼拝せらるること、なお仏の敬せらるるが如し。
十者命終之時。心無怖畏。正念歡喜。現前得見阿彌陀佛。及諸聖衆。持金蓮臺。接引往生西方淨土。盡未來際。受勝妙樂。
十には、命終の時、心に怖畏なし、正念歓喜し、現前に阿弥陀仏を見ることを得、及び諸聖聚、金の蓮台を持ち、接引して西方浄土に往生せしめ、未来際を尽して勝妙楽を受く。