曾婆羅頻陀羅地獄
出典: 浄土真宗聖典『ウィキアーカイブ(WikiArc)』
ぞうばら-びんだらじごく
【左訓】「無間地獄の衆生をみては、あら楽しげやとみるなり。仏法を謗(そし)りたるもの、この地獄に落ちて八万劫住す。大苦悩を受く」(異本)(浄土 P.573)
出典(教学伝道研究センター編『浄土真宗聖典(注釈版)第二版』本願寺出版社
『浄土真宗聖典(注釈版)七祖篇』本願寺出版社
区切り線以下の文章は各投稿者の意見であり本願寺派の見解ではありません。
『浄土真宗聖典(注釈版)七祖篇』本願寺出版社
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曾婆羅頻陀羅地獄の語は、『無量寿仏名号利益大事因縁経』に見える。
名畑應順 校註『親鸞和讃集』(岩波文庫)の補註には、
- 世に大経の訳者と同じい康僧鎧の訳として、仏説無量寿仏名号利益大事因縁経と称する小部の経があり、叡山の檀那院の宝庫に襲蔵されていたと伝え、明治初期に刊行せられ、続蔵経に収められている。この経の中にこの和讃の典拠に擬すべき文が見える。しかしこの経は後世の好事家の作為した偽経らしく、親鸞の所覧とは考えられない。安楽集上に「汝、豈有碍の識を以て、彼の無碍の法を疑わんや」とあるのが、初二句の出典に当てられるが、後二句殊に曾婆羅頻陀羅地獄についてはその典拠が明らかでなく、古来の学匠が、諸仏典にわたってその名の検索にも解釈にも大いに苦心しているけれども、まだ的確なものはない。近来梵文原典にこれを探って、サムバラという大地獄、ヴィタラという底の深い地獄だとする説があって、その語源的な解釈には首肯されるが、親鸞が梵文によったとは思われない。何かの漢文仏典から導き出されたものであろう。いまはしばらく国宝本の左訓に随って、一応の解釈を加えるに止めた。
と、ある。この短い経はかってネットで見つけて読み下しした記憶があるのだが原文をロストした。しかし「CBETA中華電子佛典協會 漢文大藏經」で発見した。→トーク:曾婆羅頻陀羅地獄
◆ 参照読み込み (transclusion) jds:無量寿仏名号利益大事因縁経
むりょうじゅぶつみょうごうりやくだいじいんねんぎょう/無量寿仏名号利益大事因縁経
一巻。康僧鎧訳。中国の経録類には本経の存在がみられず、また「久遠実成法身常住無量寿仏とは豈に異人ならん。今日の世尊、我が身是れなり」(続蔵一・三六一中)と阿弥陀仏を釈尊に同定していることから、『無量寿経』に擬して制作された日本撰述経典とみられている。内容は、不可思議光無量寿如来が本願力によって十方世界にその名号の功徳を宣布し、それを聞いて信心を発したあらゆる人々は不退転の正定位に入り、西方清浄安楽刹の仏国土に往生することができるという。また、「称名号」の功徳として滅罪や仏・菩薩の常護念を挙げ、疑心を持って信じないものは婆羅地獄あるいは頻陀羅獄に堕して無窮の苦しみを受けると説かれている。
【所収】続蔵一
【参考】望月信亨『仏教経典成立史論』(法蔵館、一九四六)
【執筆者:工藤量導】