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- 燕詩示劉叟
燕の詩 劉叟に示す[1]
白居易
- 梁上有雙燕
梁上 に双燕 有り。
- 翩翩雄與雌。
翩翩 たり 雄と雌と。
- 銜泥兩椽間
- 泥を
銜 む両椽 の間、
- 泥を
- 一巣生四兒。
- 一巣に 四児 生む。
- 四兒日夜長
- 四児 日夜に 長じ、
- 索食聲孜孜。
- 食を
索 むる 声孜孜 たり。
- 食を
- 青蟲不易捕
- 青虫 捕へ
易 すからざるも、
- 青虫 捕へ
- 黄口無飽期。
- 黄口 飽期 無し。
- 觜爪雖欲弊
觜爪 弊 れんと欲 すと雖 も、
- 心力不知疲。
- 心力 疲るるを 知らず。
- 須臾千來往
須臾 に 千たび 来往し、
- 猶恐巣中飢。
- 猶ほ 巣中の飢を 恐るるがごとし。
- 辛勤三十日
- 辛勤 三十日、
- 母痩雛漸肥。
- 母 痩せて 雛
漸 く 肥ゆ。
- 母 痩せて 雛
- 喃喃敎言語
喃喃 として 言語を 教へ、
- 一一刷毛衣。
- 一一 毛衣を
刷 ふ。
- 一一 毛衣を
- 一旦羽翼成
- 一旦 羽翼 成りて、
- 引上庭樹枝。
引 ゐて 庭樹の枝に上る。
- 舉翅不回顧
翅 を舉 げ 回顧せずして、
- 隨風四散飛。
- 風に
随 ひ 四散して飛ぶ。
- 風に
- 雌雄空中鳴
- 雌雄 空中に 鳴き、
- 聲盡呼不歸。
- 声 尽くるまで 呼べども 帰らず。
- 卻入空巣裏
却 きて 空巣の裏 に 入り、
- 啁啾終夜悲。
啁啾 終夜 悲しむ。
- 燕燕爾勿悲
- 燕や 燕
爾 悲しむ勿 れ、
- 燕や 燕
- 爾當返自思。
爾 当 に 返って自 ら思ふべし。
- 思爾爲雛日
- 思へ
爾 雛為 りし日、
- 思へ
- 高飛背母時。
- 高飛して 母に
背 きし時を。
- 高飛して 母に
- 當時父母念
- 当時の 父母の
念 、
- 当時の 父母の
- 今日爾應知。
- 今日
爾 応 に知るべし。
- 今日
- ↑ 劉叟の息子が老いた親を置いて家を出て行き、帰ってこなくなったことについて、詠った。