「を称念し」の版間の差分
出典: 浄土真宗聖典『ウィキアーカイブ(WikiArc)』
1行目: | 1行目: | ||
梯實圓和上の講録から。 | 梯實圓和上の講録から。 | ||
− | : 一般に『安心論題』等か見ますと信心は<kana>願行具足(がんぎょう-ぐそく)</kana>の名号を頂いたという風な言い方をします。願行具足論は宗祖は余り使わないのです。余りではなくて「願行」という言葉を一回だけ使われておられますが、次には<kana>直(ただち)</kana>に止めてしまわれるのです。だからあの言葉はあまり親鸞聖人は使わない。『尊号真像銘文』の略本の「帰命尽十方無碍光如来」の釈の所に「無碍光仏の願行を信じて」([[尊号真像銘文(建長本)#P--0618|略本 618]]) という言葉が一ヶ所だけあるのです。しかし広本の時はそれはもう省略します。切ってしまいます。「願行を信ず」という願行という言葉を止めてしまうのです。この「阿弥陀仏の願行を信ずる」という形で宗祖は一回だけ使ったのだけれども、どうもそぐわないのでしょう。親鸞聖人の境地に合わなかったのでしょう。それで止めてしまうのです。何故に止められたのでしょうか?。一度使われて直に止めるというのは面白いです。だから「六字釈」を見たら願行門の六字釈は一切使わない。六字釈は二回ありますけれども願行具足という事を一回も言われない。だから宗祖は願行具足論というもので成仏の因を語るという事はなかった訳です。もっと根源的に如来の智慧と慈悲、如来の大智・大悲で仏道の正因を語るのです。これはやはり親鸞聖人の大乗仏教観というようなものが背景にあるのです。恐らく[[信心正因]] | + | : 一般に『安心論題』等か見ますと信心は<kana>願行具足(がんぎょう-ぐそく)</kana>の名号を頂いたという風な言い方をします。願行具足論は宗祖は余り使わないのです。余りではなくて「願行」という言葉を一回だけ使われておられますが、次には<kana>直(ただち)</kana>に止めてしまわれるのです。だからあの言葉はあまり親鸞聖人は使わない。『尊号真像銘文』の略本の「帰命尽十方無碍光如来」の釈の所に「無碍光仏の願行を信じて」([[尊号真像銘文(建長本)#P--0618|略本 618]]) という言葉が一ヶ所だけあるのです。しかし広本の時はそれはもう省略します。切ってしまいます。「願行を信ず」という願行という言葉を止めてしまうのです。この「阿弥陀仏の願行を信ずる」という形で宗祖は一回だけ使ったのだけれども、どうもそぐわないのでしょう。親鸞聖人の境地に合わなかったのでしょう。それで止めてしまうのです。何故に止められたのでしょうか?。一度使われて直に止めるというのは面白いです。だから「六字釈」を見たら願行門の六字釈は一切使わない。六字釈は二回ありますけれども願行具足という事を一回も言われない。だから宗祖は願行具足論というもので成仏の因を語るという事はなかった訳です。もっと根源的に如来の智慧と慈悲、如来の大智・大悲で仏道の正因を語るのです。これはやはり親鸞聖人の大乗仏教観というようなものが背景にあるのです。恐らく[[信心正因]]という事を言うのは菩提心正因というものを押さえている訳です。 |
− | という事を言うのは菩提心正因というものを押さえている訳です。 | + |
2023年7月15日 (土) 09:37時点における最新版
梯實圓和上の講録から。
- 一般に『安心論題』等か見ますと信心は
願行具足 の名号を頂いたという風な言い方をします。願行具足論は宗祖は余り使わないのです。余りではなくて「願行」という言葉を一回だけ使われておられますが、次には直 に止めてしまわれるのです。だからあの言葉はあまり親鸞聖人は使わない。『尊号真像銘文』の略本の「帰命尽十方無碍光如来」の釈の所に「無碍光仏の願行を信じて」(略本 618) という言葉が一ヶ所だけあるのです。しかし広本の時はそれはもう省略します。切ってしまいます。「願行を信ず」という願行という言葉を止めてしまうのです。この「阿弥陀仏の願行を信ずる」という形で宗祖は一回だけ使ったのだけれども、どうもそぐわないのでしょう。親鸞聖人の境地に合わなかったのでしょう。それで止めてしまうのです。何故に止められたのでしょうか?。一度使われて直に止めるというのは面白いです。だから「六字釈」を見たら願行門の六字釈は一切使わない。六字釈は二回ありますけれども願行具足という事を一回も言われない。だから宗祖は願行具足論というもので成仏の因を語るという事はなかった訳です。もっと根源的に如来の智慧と慈悲、如来の大智・大悲で仏道の正因を語るのです。これはやはり親鸞聖人の大乗仏教観というようなものが背景にあるのです。恐らく信心正因という事を言うのは菩提心正因というものを押さえている訳です。