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正像末和讃(国宝本)

出典: 浄土真宗聖典『ウィキアーカイブ(WikiArc)』

2021年6月29日 (火) 21:20時点における林遊 (トーク | 投稿記録)による版 (ページの作成:「 <nowiki> Ⅱ-0467康元二歲丁巳二月九日の夜 寅時夢告にいはく Ⅱ-0468(三六) 彌陀の本願信ずべし 本願信ずるひとはみな 攝取不...」)

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Ⅱ-0467康元二歲丁巳二月九日の夜
寅時夢告にいはく

Ⅱ-0468(三六)
彌陀の本願信ずべし
本願信ずるひとはみな
攝取不捨の利益にて
无上覺おばさとるなり

この和讚を、ゆめにおほせをかぶりて、うれしさにかきつけまいらせたるなり。
正嘉元年丁巳閏三月一日
愚禿親鸞W八十五歲R書之

Ⅱ-0469(一三)
釋尊かくれましまして
二千餘年になりたまふ
正像の二時はおわりにき
如來の遺弟悲泣せよ

Ⅱ-0470(八)
像季・末法の衆生の
行證かなわぬときなれば
釋迦の遺法ことごとく
龍宮にすでにいりたまふ

(三三)
正像末の三時には
彌陀の本願ひろまれり
像季・末法のこのよには
諸善龍宮にいりたまふ

Ⅱ-0471(一四)
『大集經』にのたまはく
このよは第五の五百年
鬪諍堅固なるゆへに
白法隱滯したまへり

Ⅱ-0472(二九)
劫濁うつるしるしには
有情やうやく身小なり
衆生濁惡蛇龍にて
惱濁塵數のごとくなり

(三〇)
愛憎違順することは
高峰岳山にことならず
見濁叢林棘刺のごとし
背正歸邪はさかりなり

Ⅱ-0473(三一)
命濁中夭刹那にて
流轉生死は須臾なり
如來の悲願を信ぜずは
出離その期もなかるべし

Ⅱ-0474(三二)
九十五種よをけがす
唯佛一道きよくます
菩提に出到してのみぞ
火宅に還來自然なる

Ⅱ-0476(一五)
正法の時機とおもへども
底下の凡愚となれるみは
淸淨眞實のこゝろなし
發菩提心いかゞせむ

(一六)
自力聖道の菩提心
こゝろもことばもおよばれず
常沒流轉の凡愚は
いかでか發起せしむべき

Ⅱ-0477(一七)
三恆河沙の諸佛の
出世のみもとにありしとき
大菩提心おこせども
さとりかなはで流轉せり

(七)
像末五濁のよとなりて
釋迦の遺敎かくれしむ
彌陀の悲願はひろまりて
念佛往生とげやすし

Ⅱ-0478(一八)
淨土の大菩提心は
願作佛心をすゝめしむ
すなわち願作佛心を
度衆生心となづけたり

Ⅱ-0479(一九)
度衆生心といふことは
如來智願の廻向なり
廻向の信樂うるひとは
大般涅槃をさとるなり

(二〇)
如來の廻向に歸入して
願作佛心をうるひとは
自力の廻向をすてはてゝ
利益有情はきわもなし

Ⅱ-0480(二一)
彌陀の智願海水に
他力の信水いりぬれば
眞實報土のならひにて
煩惱・菩提一味なり

(二二)
如來二種の廻向を
ふかく信ずる人はみな
等正覺にいたるゆへ
憶念の心はたえぬなり

Ⅱ-0481(二三)
彌陀智願の廻向の
信樂まことにうるひとは
攝取不捨の利益ゆへ
等正覺にはいたるなり

(一)
五十六億七千萬
彌勒菩薩はとしをへむ
念佛往生信ずれば
このたびさとりはひらくべし

Ⅱ-0482(二)
念佛往生の願により
等正覺にいたる人
すなわち彌勒におなじくて
大般涅槃をさとるべし

(三)
眞實信心をうるゆへに
すなわち定聚にいりぬれば
補處の彌勒におなじくて
无上覺を證すべし

Ⅱ-0483(二四)
像法のときの智人も
自力の諸敎をさしおきて
時機相應の法なれば
念佛門にぞいりたまふ

(五)
彌陀の名號となえつゝ
信心まことにうるひとは
憶念の心つねにして
佛恩報ずるおもひあり

Ⅱ-0484(六)
五濁惡世の衆生の
選擇本願信ずれば
不可稱不可說不可思議の
功德は信者のみにみてり

(二五)
无㝵光佛ののたまはく
未來の有情利せむとて
大勢至菩薩に
智慧の念佛さづけしむ

Ⅱ-0485(二六)
濁世の有情をあわれみて
勢至念佛すゝめしむ
信心のひとを攝取して
淨土に歸入せしめけり

(一〇)
釋迦・彌陀の慈悲よりぞ
願作佛心はえしめたる
信心の智慧にいりてこそ
佛恩報ずるみとはなれ

Ⅱ-0486(一一)
智慧の念佛うることは
法藏願力のなせるなり
信心の智慧なかりせば
いかでか涅槃をさとらまし

(二七)
无明長夜の燈炬なり
智眼くらしとかなしむな
生死大海の船筏なり
罪障おもしとなげかざれ

Ⅱ-0487(二八)
佛力无窮にましませば
罪障深重もおもからず
佛智无邊にましませば
散亂放逸もすてられず

(三四)
如來の作願をたづぬれば
苦惱の衆生をすてずして
廻向を首としたまひて
大悲心おば成就せり

Ⅱ-0488(三七)
眞實信心の稱名は
如來廻向の法なれば
不廻向となづけてぞ
自力の稱念きらはるゝ

Ⅱ-0497(九)
三朝淨土の大師等
哀愍攝受したまひて
眞實信心すゝめしめ
定聚のくらゐに歸せしめよ

Ⅱ-0498(三五)
如來大悲の恩德は
身を粉にしても報ずべし
師主知識の恩德も
骨をくだきても謝すべし

已上三十四首



Ⅱ-0515(三九)
上宮太子方便し
和國の有情をあわれみて
如來の悲願弘宣せり
慶喜奉讚せしむべし

Ⅱ-0524(四〇)
罪業もとより所有なし
妄想顚倒よりおこる
心性みなもときよければ
衆生すなわち佛なり

Ⅱ-0526(四一)
无明法性ことなれど
心はすなわちひとつなり
この心すなわち涅槃なり
この心すなわち如來なり

(三八)
大日本國粟散王
佛敎弘興の上宮皇
恩德ふかくひろくます
奉讚たえずおもふべし