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出典: 浄土真宗聖典『ウィキアーカイブ(WikiArc)』

2024年8月18日 (日) 06:58時点における林遊 (トーク | 投稿記録)による版

どう/みち

Ⅰ (どう) さとりへの道。また、さとりのこと。(信巻 P.237,238,254, 化巻 P.407) 

Ⅱ (どう) 智慧のこと。(信巻 P.252) 

Ⅲ (どう) 仏果。仏のさとり。 (証巻 P.340, 浄文 P.482,讃弥陀偈 P.171要集 P.868)

Ⅳ (どう) 行の意、 (真巻 P.359)

Ⅴ (みち) 神道を指す。(御伝鈔 P.1058)

Ⅵ (どう) 仏道。 (安楽集 P.279安楽集 P.283)

出典(教学伝道研究センター編『浄土真宗聖典(注釈版)第二版』本願寺出版社
『浄土真宗聖典(注釈版)七祖篇』本願寺出版社

区切り線以下の文章は各投稿者の意見であり本願寺派の見解ではありません。

 道とは仏の覚り、菩提を指す語だが、日本では仏の道(みち)、と訓読して、仏になるための、道・教え・修行などを指すことが多い。

どう 道 

Ⅰ 梵語マールガ (mārga) の意訳。末伽と音訳する。さとりに至るべきみちのことで、仏教の究極的な目的に至るための修行過程を指す。
Ⅱ 梵語ボーディ (bodhi) の意訳。菩提と音訳し、新訳では覚と意訳する。→菩提
Ⅲ 出家者のこと。『銘文』には 「道のふたりは、一つには僧、二つには比丘尼なり」 とある。(註 663)
Ⅳ 路に対する語。特に親鸞は 「道」 と 「路」 とを区別し、小路に対して阿弥陀仏の本願の教えを大道とする。「信巻」 には 「道はすなはちこれ本願一実の直道、大般涅槃、無上の大道なり。路はすなはちこれ二乗・三乗、万善諸行の小路なり」 (註 244)とある。(浄土真宗辞典)
『易経』

形而上者謂之道 形而下者謂之器。

形よりして上なる者、之(これ)をといい、形よりして下なる者、之を器といふ。(『易経』繫辭上

天地宇宙[1]の間には、形(すがた)のあるものと形のないものとがある。五感によってとらえられるものは形による認識下にあるので、といわれ、形のないものは五感による感覚ではその存在を知ることのできない、時間、空間を超越したものであるのでという。この『易経』の形而上形而下の語から時間、空間を超越した現象を超えたもの、または現象の背後にあるもの、根源的なものを対象とする学問を意味する metaphysics(メタフィジックス)を日本語に翻訳して「形而上学」と呼ぶようになった。(明治時代の知識人が西欧語を日本人が判る漢字によって造語した知識に驚嘆する。これを和製漢語と呼ぶ。)

《道》という漢字は、長く通じている「みち」、ひいて、みちを行く、「みちびく」意を表わす。ここから正しいすじみち、方法、手段の意を持ち、老荘(道教)ではタオとして宇宙の根本原理をいう語として用いられた[2]。 また道には「いう(言)」という意味もあり、六字釈で帰命の命の八訓で道をあげておられる。道の言うという意味では禅の語録の表現ではよく使われ、現代でも報道(知らせ言う。報には知らせるという意がある)と熟語されて使われている。

仏教では、この道という漢字を、梵語マールガ mārga(さとりへの道、智慧へいたる道程、目的に至らせる通路、行うべき道)の翻訳語として使用したり、梵語ガティ gati(趣、六趣、六道の道など)の訳としたり、また梵語ボーディ bodhi(覚りの智慧)の音写語の菩提の意味としても使われた。このように仏教で、道という語は、

①真理そのものを顕わす場合、
②真理を悟る智慧を顕わす場合、
③真実の智慧に至る過程を顕わす場合、
④歩むべき実践法の(梵語チャリャー caryā)を顕わす場合

があるなど、非常に広い意味を持っているので、文脈に沿って読む必要がある。 『論註』では阿耨多羅三藐三菩提を、

「阿」は無に名づく、「耨多羅」は上に名づく、「三藐」は正に名づく、「三」は遍に名づく、「菩提」はに名づく、、統ねてこれを訳して、名づけて無上正遍道とす。 (行巻 191)

と菩提を道と翻訳している。旧約では仏を無上道と翻訳し、新訳では無上覚と翻訳している。

格義仏教

  1. 「淮南子(えなんじ)」 に「往古来今謂之宙、天地四方上下謂之宇 (往古・来今、これを宙といい、天地四方上下、これを宇という)」とある。「宇」は「天地四方上下」の空間を意味し、「宙」は「往古来今」──「往古」(過ぎ去った過去)、「来今」(これから来る今、現在を含む未来といふ時間)──の過去・現在・未来の時間を示す。宇宙と熟し時間と空間(時空)を意味する。宇を天とし宙を地とし天地ともいふ。
  2. 魏訳の『無量寿経』は格義仏教時代に翻訳された経典であり、菩提の翻訳語として老荘の「道」をあてたのであろう。新訳では「覚」とある。