正覚
出典: 浄土真宗聖典『ウィキアーカイブ(WikiArc)』
しょうがく
仏のさとり。正しいさとり。
『浄土真宗聖典(注釈版)七祖篇』本願寺出版社
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しょうがく 正覚
正等覚、等正覚、正尽覚ともいう。無上等正覚の略。三藐三菩提の訳。正しい仏のさとりのこと。阿弥陀仏が十劫の昔、正覚を成就して仏となった最初の瞬間を正覚の一念という。 浄土宗西山派では、この時一切衆生の往生の因果は満足されたと説く。 また極楽浄土の蓮華は阿弥陀仏の正覚によって生み出された華であるから、正覚の華という。(仏教学辞典)
「証巻」では『論註』の「荘厳眷属功徳成就」を引いて、
〈荘厳眷属功徳成就とは、『偈』に、《如来浄華衆正覚華化生》といへるがゆゑに〉(浄土論)と。これいかんぞ不思議なるや。おほよそこれ雑生の世界には、もしは胎、もしは卵、もしは湿、もしは化、眷属そこばくなり。苦楽万品なり。雑業をもつてのゆゑに。かの安楽国土はこれ阿弥陀如来正覚浄華の化生するところにあらざることなし。同一に念仏して別の道なきがゆゑに。遠く通ずるに、それ四海のうちみな兄弟とするなり。眷属無量なり。いづくんぞ思議すべきや」と。(証巻 P.310)
とされている。また「高僧和讃」では、
とされ「浄華の聖衆」の左訓に「浄華といふは、阿弥陀の仏(ほとけ)になりたまひしときの華なり。この華に生ずる衆生は、同一に念仏して別の道なしといふなり」とされておられる。
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正覚(しょうがく)とは、仏教用語で、さとり、仏のさとり、正しいさとりのことを指す[1]。また、宇宙の大真理をさとること[1]。真理をさとった人[1]、仏[2]、如来を意味する場合もある[1]。
原語・原義
漢訳で正覚とされるサンスクリット語やパーリ語の原語は一定ではない[3]。
『広説佛教語大辞典』は、正覚と訳された語を仏典から12個挙げている[注釈 1]。
正覚と漢訳されるサンスクリット語のうち、梵: abhisaṃ-bodhiや、梵: abhisaṃ-buddhaは、現前した菩提・仏といった意味あいであり、新訳では現正覚(げんしょうがく)や現等正覚(げんとうしょうがく)など、「現」を付して訳されることが多いとみられる[4][要検証 ]。
三藐三菩提
正覚を含む漢訳語のうち、無上正覚(むじょう-しょうがく)、(無上)正等正覚(むじょう-しょうとうしょうがく)、(無上)正等覚(むじょう-しょうとうがく)、(無上)等正覚(むじょう-とうしょうがく)、無上菩提(むじょう-ぼだい)、無上正等菩提(むじょうしょうとうぼだい)など「無上」を付して訳されるものは、(阿耨多羅)三藐三菩提と同じ原語であることが多い[5][要検証 ]。
(阿耨多羅)三藐三菩提(あのくたら-さんみゃくさんぼだい)(梵: (anuttarāṃ-)samyak-sambodhiṃ)のサンスクリット原義は「(最も優れた-)正しい-知識」、「(最も勝った-)完全な-理解」といった意味だが[6][要検証 ]、漢訳では等正覚・正等正覚・正等覚と同義であり、意味は、生死の迷いを去って、いっさいの真理を正しく平等に悟ることや、仏の悟り、仏の完全な悟り[7]。
阿耨多羅三藐三菩提は大乗仏教で用いられるが、部派仏典にも現れる[注釈 2]。
初期仏教
初期仏教では主に、釈迦が菩提樹下で成就した、四諦・八正道・縁起などの理法に対する悟りを指す[2]。
部派仏教
大乗仏教
大乗仏教では、諸仏が等しく成就する無上・普遍の悟りのこと[2]。経典や宗派によって解釈は異なるが、概ね、無相の真如や諸法の実相などの体悟を内容とする[2]。
脚注
注釈
- ^ 1.さとり - 巴: saṃbodhi(『中阿含経』)、巴: saṃbodha(『雑阿含経』)、巴: abhisaṃbuddha(『増壱阿含経』)、巴: abhisaṃbodhi(The Dīgha Nikāya II → 『沙門果経』)、梵: buddhi(『楞伽経』)、梵: abhisaṃbodhi(Sylvain Lévi, Mahāyāna-sūtrālaṃkāra)、梵: buddhatva(Bunyiu Nanjio, The Laṅkāvatāra Sūtra〈宋訳・唐訳〉 → 『楞伽経』)、梵: saṃbuddha(Bunyiu Nanjio, The Laṅkāvatāra Sūtra〈唐訳〉)、梵: samyag-avabodha(Bunyiu Nanjio, The Laṅkāvatāra Sūtra〈宋訳〉)、梵: adhigama(Bunyiu Nanjio, The Laṅkāvatāra Sūtra〈唐訳〉)
2. 真理をさとった人 - 梵: buddha/チベット語:saṅs rgyas(Ryōzaburō Sakaki, Mahāvyutpatti)[1] - ^ 阿耨多羅三藐三菩提は大正新脩大蔵経に1万3500余回出現するが、[要出典]阿含部は45回に過ぎない[8]。
出典
- ^ a b c d e 中村元 『広説佛教語大辞典』中巻 東京書籍、2001年6月、838頁。
- ^ a b c d 中村元ほか編 『岩波仏教辞典 第二版』 岩波書店、2002年10月、p.515の「正覚」の項目。
- ^ 『仏教漢梵大辞典』 平川彰編纂 (霊友会) 687頁「正覚」。
- ^ 『仏教漢梵大辞典』 平川彰編纂 (霊友会) 753頁「現〜」。
- ^ 『仏教漢梵大辞典』 平川彰編纂 (霊友会) 753頁「無上〜」。
- ^ 『漢訳対照梵和大辞典 増補改訂版』 鈴木学術財団 (山喜房仏書林)、1979年、「anuttarāṃ」, 「samyak」, 「sambodhiṃ」参照。
- ^ 等正覚とは - 大辞泉/大辞林/コトバンク
- ^ 阿耨多羅三藐三菩提 (阿含部)
関連項目