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横の大菩提心

出典: 浄土真宗聖典『ウィキアーカイブ(WikiArc)』

本願寺派では三業惑乱以降、願生帰命説を否定するあまり欲生心を積極的に説かない。しかし御開山が顕された「浄土真宗」とは往生浄土の真実の教えであり願生心無き浄土真宗は考えられない。
御開山は「教巻」で、

 つつしんで浄土真宗を案ずるに、二種の回向あり。一つには往相、二つには還相なり。(教巻 P.135)

とされ『浄土文類聚鈔』では「本願力の回向に二種の相あり」(浄文 P.478)と浄土真宗は本願力回向の仏法であった。そもそも浄土教とは浄土への往生を願う仏教である。
御開山は、その往生浄土の証果をあらわす「証巻」で「大涅槃を証することは願力の回向によりてなり。還相の利益は利他の正意を顕すなり」(証巻 P.335)と、浄土へ往生する往相(願作仏心)する本意は衆生を済度する為の還相(度衆生心)であるとされた。
これは大乗仏教の「上求菩提・下化衆生(上に菩提を求め、下に衆生を化す)」の菩提心であり、それは、

横超とは、これすなはち願力回向信楽、これを願作仏心といふ。願作仏心すなはちこれ横の大菩提心なり。(信巻 P.246)

といふ。